A子さんの事2 (ベトナム ホーチミン駐在時代の話)

(前回のブログから続く)

私は A子さんに会えて良かったと思っています。
おそらく A子さんも そう思ってくれているでしょう。
彼女の成長、喜びを、間近で実感できること。

ホテルの狭い受付のカウンターから、
少しでも 広い場所に繋がるドアを開けるお手伝いをできた事。
その事は とてもよかった。
でも わたしはチャンスをあげただけ。
彼女は、うちの会社でアルバイトとして働き始めた頃、
私の右腕である ベトナム人マネジャーからは、
『A子さんは 仕事の処理が遅くて、間違いが多くて使えない。
A子さんに頼むくらいなら、自分で仕事をした方が早い』と言われていました。

わたしはそれを聞いて、
『わかりました。A子さんのことは マネージャーの判断に任せます。
A子さんは 3か月のアルバイトで雇用しただけです。
その間は契約があるので、この契約は 解除できません。
しかし、もし3か月経って、A子さんが今のまま使えないと
マネージャーが判断するなら
わたしは その判断を尊重して、A子さんを解雇します。
そして、別の人間を雇用します』
わたしは マネージャーにそう 話しました。

でも、時間の経過とともに マネージャーのA子さんに対する発言が変化しました。

『A子さんは最近、間違いも少なくなってきた。もう少し様子を見たい』

『A子さんは、よく頑張っている』

『Uenoさん、A子さんの雇用契約を、アルバイトから正社員に変えてください。
A子さんは頑張っているし、仕事も覚えてきたので 解雇してはダメ。
A子さんを辞めさせたら 会社の損失』
という風に

私は マネージャーの発言を尊重し
A子さんとの契約を正社員に変更した。
私は、A子さんにとって、未来へ繋がる扉を開けるチャンスをあげただけ。
でも、そのあと、A子さんは自分の力で階段を上がってきた

A子さんには、
『1年以内に 今の事務処理や顧客対応の仕事を覚えて、
スキルをつけ、日本語を上達させ、
今より、もっと良い会社に、もっといい給料で
就職できるようにしなさい』
と いつも話しています。

私は、A子さんの転職の推薦状を書くつもりです

『うちの会社は日本語を必要としないけれど、
A子さんは頑張って日本語を学習し、それが上達したので、
ぜひ 日本語が思う存分に使える環境で
A子さんの力を さらに活かせるようにお願いしたい』と。

A子さん自身も、よく理解していて、頑張っています。
A子さんは、週末の土日も、
私のところに来て 日本語の勉強をします。

私は、A子が 正しい日本語の発音ができるまで
30回でも、50回でも反復させる。
かなりスパルタだと思う。
彼女も 必至についてきている。たくさんの宿題も与えた。

来年は ぜひ 自分の力で
未来につながるドアを開けてほしいと思っています。

ダイヤモンドの原石が うちの会社には、たくさん存在します。
それらを磨いて 光らせるのは
私を 温かく受け入れてくれたベトナムへ ほんの少しの恩返し

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